歯医者で「歯周ポケット4〜6mmですね」と言われて、放っておいて大丈夫かモヤモヤしていませんか。この記事では、何mmから要注意か、深い状態は元に戻るのかをやさしく整理。治療の流れや通院目安、今日からできる歯周ポケット改善のセルフケアも具体的に解説します。迷ったら当院の無料相談をご利用ください。
歯周ポケットとは?
歯周ポケットは、歯と歯茎の境目にある細いみぞです。健康なら浅いのですが、プラーク(細菌の膜)が残ると歯茎に炎症が起き、腫れて深くなります。磨き残しや歯石、歯並び・噛み合わせ、喫煙やストレス、糖尿病、妊娠中のホルモン変化も悪化要因です。数値が大きいほど汚れがたまりやすく、出血や口臭の原因に。今の値に合わせたケアと治療選びが大切です。
歯周ポケットは何mmから要注意?

検診では、目盛り付きの細い器具「プローブ」をそっと差し入れて、mm単位で測り、同時に出血の有無も確認します。1〜2mmは健康、3mmは注意、4mm以上は治療が必要になることも。数値は今のお口の“状態の合図”。まずは慌てず、自分の値を知ることから始めましょう。
歯周ポケット3mm以下は健康な状態
歯周ポケットが3mm以下なら、歯と歯茎の境目の溝が浅く、汚れがたまりにくい“健康な目安”です。プローブで測って出血がない、痛みや腫れもないなら現状は良好。いつもの歯みがきにフロスや歯間ブラシを足し、3〜6か月ごとの検診・クリーニングでこの状態をやさしく保ちましょう。

歯周ポケット4~5mmは軽度な歯周病
歯周ポケットが4〜5mmの場合は、軽度の歯周病の可能性があります。歯茎に炎症があり、出血や口臭が出やすい状態です。自宅ケアだけでは届きにくい汚れが残るため、プロのクリーニング(スケーリング)とやさしいホームケアで浅く戻すことを目指しましょう。痛みが強くなくても、早めの受診が安心です。

歯周ポケット6mm以上は重度歯周病の可能性も
歯周ポケットが6mm以上は、重度の歯周病が疑われます。歯茎の深い所に汚れと菌がたまりやすく、出血や腫れ、口臭、歯のぐらつきにつながることも。自宅ケアだけでは届きにくいため、検査のうえ、SRP(深部の清掃)や歯周外科などの専門治療と、短い間隔のメンテナンスで整えていきます。痛みが弱くても、まずは当院にご相談ください。

深くなった歯周ポケットを治すことはできるの?
深くなった歯周ポケットは、原因と進行度で“戻り方”が異なります。炎症が中心なら、スケーリングやSRP、ていねいなホームケアで浅くできる可能性があります。ただし、歯茎の付着や骨を失った分は元通りにはなりません。6mm以上や出血が続く方は、専門治療と短い間隔のメンテナンス、再評価(プローブでの測定)を重ねて進行を食い止めることが大切です。
歯周ポケット3mm以下の場合
3mm以下は基本的に健康な状態です。炎症が原因で出血がある場合でも、毎日のセルフケアで十分に良い状態を保てます。歯ブラシはやわらかめを選び、歯茎との境目に45度で当てて小刻みに磨くこと(バス法)が効果的です。就寝前はフロスで歯と歯の間の汚れを取り、隙間がある所は歯間ブラシを適正サイズで追加してください。
歯周ポケットが4~5mmの場合
4〜5mmは軽度〜中等度の歯周病が疑われる範囲。炎症が中心なら、基本治療で浅くできる可能性があります。まず検査で状態を確認し、以下の処置を組み合わせます。
・スケーリング
歯の表面や歯茎のふちに付いたプラーク・歯石を、超音波や手用器具で丁寧に取り除きます。表面が滑らかになることで汚れが付きにくくなり、炎症が落ち着きやすくなります。痛みは軽度で、1〜2回の通院で行うことが一般的です。処置後は一時的にしみる・出血することがありますが、多くは数日で落ち着きます。
・ルートプレーニング(SRP)
4〜5mmのやや深い部分に残った歯石や、細菌で汚れた根面(セメント質)を、歯茎の内側から丁寧に清掃し滑らかに整えます。処置後は歯茎が引き締まり、ポケットが浅くなることが期待できます。
・その後の流れ
約4〜6週間で再評価を行い、深さや出血の有無を確認します。改善が不十分なら追加の基本治療や、必要に応じて外科的な処置を検討します。安定後は3〜4か月ごとのメンテナンスと、ご自宅でのブラッシング・フロス・歯間ブラシで良い状態を維持しましょう。気になる方は、現在の数値に合わせた計画をご提案しますので当院にご相談ください。
歯周ポケットが6mm以上の場合
歯周ポケットが6mmを超えると、歯茎の深い場所に汚れや細菌が残りやすく、自宅ケアや基本治療だけでは十分に届かないことがあります。まずは検査とスケーリング/SRPで炎症を抑え、そのうえで深さが残る部位には外科的な治療を検討します。
・フラップ手術(歯周外科)
局所麻酔下で歯茎をそっと開き、目に見えない深部の歯石や炎症組織を直視下で丁寧に取り除き、根面を滑らかに整えます。必要に応じて骨の形も整え、縫合して終了。処置時間は部位により30〜60分程度、抜糸は約1〜2週間後です。腫れやしみる感じが一時的に出ることがありますが、多くは数日で落ち着きます。目的はポケットを浅くして再び清掃しやすい環境に戻すこと。その結果、歯茎が引き締まり、出血や口臭の改善が期待できます(歯茎が下がり歯が長く見えることがあります)。
・歯周組織再生療法(適応がある場合)
骨の失われ方が“縦に深いタイプ”など、条件を満たす部位では、フラップ手術に合わせて再生材料(膜やたんぱく質、骨補填材など)を用い、失われた付着や骨の回復を目指します。すべての歯に適応できるわけではなく、喫煙や清掃状態、噛み合わせなども成否に影響します。治癒には時間がかかるため、術後はやさしい清掃と定期的なメンテナンスで静かに育てるイメージです。
最悪抜歯のケースも
歯周ポケットが6mm以上になると、歯茎の深い部分に菌がたまり、歯を支える骨が失われてしまうことがあります。この状態が進行すると、最終的には歯を支える力が弱くなり、抜歯が必要になることも。特に7mm以上の深さになると、歯の動揺がひどくなることがあり、その場合は抜歯を選択肢に入れることもあります。ただし、早期に治療を始めれば、歯を守るための手段はありますので、まずは早めに受診し、適切な治療を受けることが大切です。
歯周ポケットの深さを回復させるケア方法
歯磨きの仕方を見直す
歯ブラシの角度は、歯茎との境目に45度の角度で当てるのがポイントです。この角度でブラシを軽く動かすことで、歯と歯茎の境目に溜まりやすい汚れをしっかり落とせます。力を入れすぎず、優しく小刻みに動かすことで歯茎を傷つけず、効果的に磨くことができます。毎日の丁寧な磨き方で、歯周ポケットのケアもサポートできますよ。
フロス・歯間ブラシの使用
歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間は、フロスや歯間ブラシでケアをしましょう。フロスは、歯と歯の間にやさしく挿入し、前後に動かして汚れを取り除きます。歯間ブラシは、歯間が広めの方におすすめ。無理なくフィットするサイズを選び、歯と歯の間を優しく掃除することで、歯周ポケットの改善が期待できます。
歯磨き粉・洗口液の見直し
歯磨き粉には、フッ素や抗菌成分が含まれているものを選びましょう。フッ素は歯を強化し、抗菌成分は歯周病菌を抑える手助けになります。また、洗口液は歯茎の炎症を抑え、口内の清潔を保つために役立ちます。アルコールフリーで刺激の少ないものを選ぶと、毎日使いやすいです。歯周ポケットを意識したケアアイテムで、毎日の習慣を見直していきましょう。
歯医者での定期的なクリーニング
自宅でのケアが大切なのはもちろんですが、歯医者での定期的なクリーニングも非常に重要です。歯茎の境目や歯と歯の間に残った細かい汚れや歯石は、プロの手でしか取り除けません。定期的にクリーニングを受けることで、歯周ポケットの深さが進行しないように予防できます。また、歯科衛生士が正しいブラシの使い方やフロスの方法を教えてくれることもありますので、クリーニングは定期的に受けることをおすすめします。

まとめ
歯周ポケットの深さは、歯と歯茎の健康を守るための重要な指標です。3mm以下なら健康な状態で、4mm以上になるとセルフケアに加えて歯科での治療が必要になります。6mm以上になると重度の歯周病が疑われ、フラップ手術や歯周組織再生療法など専門的な治療が求められます。
しかし、歯周ポケットのケアは歯医者での定期的なクリーニングと自宅での丁寧なケアで改善できます。歯ブラシの角度や当て方、フロスや歯間ブラシの選び方、歯磨き粉や洗口液の見直しを意識することで、歯周ポケットの深さを守ることができます。早期のケアが大切ですので、気になることがあれば早めに歯科医に相談し、定期的な検診を受けることをおすすめします。